全国中学校社会科教育研究会

会長あいさつ

髙山 知機
(世田谷区立緑丘中学校長)

 全国中学校社会科教育研究会会長を仰せつかっております、東京・世田谷区立緑丘中学校校長の髙山でございます。これまで、平成19年から、全国中学校社会科教育研究会 研究調査部長、平成25年からは、同事務局長、平成28年からは、同常任理事、令和元年からは、同副会長として、先生方にご指導・ご助力を賜ってまいりました。心より感謝申し上げます。この度、会長として、引き続き先生方にご指導・ご助力を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
 さて、「予測不可能な社会」と言われて久しく、まさか現状のような社会になるとは、予測ができませんでした。地理的分野においては、地図帳の降水量や最高気温の記録が毎年書き換わるような状況になっています。私が中学生の頃、もう50年近く前になりますが、地理の授業で「1時間当たりの降水量30mmで土砂降り、50mmで逃げる準備、70mmで命の危険」などと習った記憶がございます。このところ、私の勤務する学校がある世田谷区では、1時間当たりの降水量が100mmを超える日が、何日かあるという、信じられない状況が続いております。また、歴史的分野においては、ロシア共和国によるウクライナ侵攻等、まるで100年前の第一次世界大戦前夜、80年前の第二次世界大戦前夜を彷彿とさせるような、この先大きな歴史的転換点にもなり得る出来事が日々勃発しております。さらに、公民的分野においても、令和4年4月から民法改正「18歳成人年齢」の施行等、中学校における社会科教育について、大きな変革期に入った感がございます。
 令和4年2月7日、文部科学省から「次期教育振興基本計画の策定」について中央教育審議会に対して諮問がございました。その中で、「社会の変化(2040年以降の社会)」について「変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の時代であり、先行き不透明で将来の予測が困難な未来」と予測されています。しかし先ほどお話しさせていただいた通り、これだけを見ると、2040年以降ではなく、現に今、そういう時代になっていると感じるのは私だけでしょうか。まさに今、中学校における社会科教育の重要性、ひいては全国中学校社会科教育研究会の役割の重要性が増しているということであると感じているところでございます。このようなおり、全国の会員の先生方のお力添えをいただきたく存じます。今般のコロナ禍において、不幸中の幸いであると申しましょうか、オンラインの活用が一般化されたように思われます。場所的に離れている先生同士が、オンラインで結ばれる、今後本会の研究会においても、積極的に活用し、日々の授業でご多忙である、現場の先生方、とりわけ若手の先生方が参加しやすい、研究協議会を計画して参りたいと存じます。
 結びに、これまで本会を支え、盛り上げてこられました多くの先達の先生方に心からの感謝を申し上げ、私のごあいさつとさせていただきます。

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